モン・ドール

モンドール(Mont d'Or)は、フランス東部フランシュ=コンテ地方のドゥー県、ジュラ山地の高地で作られる牛乳製のソフトウォッシュチーズです。正式名称は「ヴァシュラン・デュ・オー=ドゥー(Vacherin du Haut-Doubs)」で、現地ではヴァシュランと呼ばれることも多いですが、日本ではモンドールの名で広く知られています。フランス語で「黄金の山」を意味するモン・ドール山の名に由来します。
最大の特徴は、チーズをモミの木(エピセア)の樹皮(バーク)で帯状に巻いて、モミ材の丸い木箱ごと熟成・販売されるという唯一無二のスタイルです。この樹皮が熟成中にチーズをやさしく締め、独特のナッティで樹木・森林を思わせる芳香と、ねっとりとしたクリーミーな質感を生み出します。
フランスでのAOC認定取得は1981年(現在はAOP)、生産が許可されているフランス側の工場は11カ所のみです。フランス国王ルイ15世も好んで食べたと伝えられる歴史あるチーズです。
重要な特徴として、季節限定チーズであることが挙げられます。製造できるのは8月15日〜3月15日までの間のみで、販売は9月1日〜5月31日に限られています。これは夏の間は牛が高地の牧草地(アルページュ)でコンテチーズの生産に使われているためで、秋から冬にかけてのみ手に入るフランスの秋冬を代表するチーズです。
フランス産とスイス産、2種類のモンドール
実はモンドールにはフランス産とスイス産の2種類があります。
フランス産:ヴァシュラン・デュ・オー=ドゥー(AOP)
ドゥー県産の無殺菌乳を使用。モミの樹皮を巻いてモミ材の木箱で熟成・販売。外皮はオレンジがかったウォッシュタイプで、表面に木のような波状の折り目が走ります。
スイス産:ヴァシュラン・モンドール(AOP)
スイスのボー州産で、フランス産と同様にモミの樹皮とモミ材の箱を使います。スイス産は殺菌乳を使う場合もあり、フランス産よりやや大型のものが多い傾向があります。
どちらも同じ文化圏・製法から生まれた兄弟チーズで、外見・風味ともに非常によく似ています。日本で流通しているものはフランス産・スイス産どちらも見られるので、購入時にラベルを確認してみてください。
モン・ドールの写真
JR大阪三越伊勢丹finesse(フィネス)で2014年3月当時1,071円(税込1,125円)でした。 「ロン・デュ・ヴァル」「ムルシア・アル・ヴィノ」も購入しました。
味と食べ方(ペアリング)
外皮はウォッシュタイプらしい独特の香りを持ちますが、中の生地はとろりと溶けるようにやわらかく、バターとナッツと森の香りを合わせたような複雑でリッチな風味が広がります。フランスでは「スプーンで食べる唯一のフランスチーズ」と称されるほど、熟成が進むと完全にとろとろになります。
最もシンプルで贅沢な食べ方は、木箱に入れたまま蓋を取り、スプーンですくってバゲットにつけて食べる方法。常温に戻してから食べると中がとろりと流れ出します。
さらに人気なのが「焼きモンドール(モンドール・ショー)」です。木箱ごとオーブンに入れて約200℃で8分ほど加熱すると、チーズが完全に溶けてフォンデュのようになります。上面にスライスしたにんにくを差し込んだり、白ワインを少し垂らしてから焼くのが定番で、バゲット・茹でたじゃがいも・ソーセージなどをつけて食べます。木箱ごと食卓に出せるのも魅力です。
ワインとの相性は産地同士の組み合わせで、フランシュ=コンテのヴァン・ジョーヌ(ジュラの黄色ワイン)が最高のペアリングとされています。辛口の白ワイン全般(シャルドネ、コンテ産のものなど)とも合いますし、スパークリングワインや軽めの赤ワインとも楽しめます。
購入店
- JR大阪三越伊勢丹finesse(フィネス)(2014年3月)




