カマンベール

カマンベール
ミルクの種類 🐄
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    カマンベール(Camembert)は、フランス北西部ノルマンディ地方の牛乳を使った白カビタイプのチーズで、「チーズの女王」とも称されるフランスを代表するチーズのひとつです。
    名前はフランス・オルヌ県にある小さな村「カマンベール(Camembert)」に由来しています。

    その誕生には有名な伝説があります。1791年、フランス革命の混乱の中、ノルマンディの農家の女性マリー・アレル(Marie Harel)がブリー地方出身の亡命聖職者シャルル=ジャン・ボンヴスト神父をかくまいました。神父はそのお礼として彼女にブリーチーズの製法を伝え、マリー・アレルはノルマンディの地でそれをアレンジして作ったのがカマンベールの起源とされています。
    その後マリー・アレルの娘や孫たちが販売を広め、1863年にはナポレオン3世が鉄道開通式の途中でこのチーズを試食してすっかり気に入り、宮廷に定期的に取り寄せるようになったことで一気に知名度が上がりました。さらに1890年にはポプラ材の丸い木箱(今でもカマンベールのシンボルとなっている)が発明され、輸送しやすくなったことで世界中に広まっていきました。

    第一次世界大戦中にはフランス軍の配給チーズとして採用され、一時は毎日1万個が軍に供給されたという記録もあります。この戦時配給がさらに生産量の拡大を促し、ノルマンディ以外の地域でも「カマンベール」の名を冠したチーズが作られるようになりました。
    AOC(原産地名称管理)の取得は1983年と比較的遅く、それまでに「カマンベール」の名称が世界中に広まっていたため、現在も「カマンベール」という名前自体は法的に保護されておらず、世界各地でカマンベールが作られています。一方で正統なノルマンディ産の伝統製法チーズは「カマンベール・ド・ノルマンディ(Camembert de Normandie)」としてAOP認定を受け、1996年にEU統一の保護原産地呼称として認められています。

    カマンベール・ド・ノルマンディと一般的なカマンベールの違い

    日本でよく目にする市販のカマンベールと、本場フランスのカマンベール・ド・ノルマンディはの違いですが、「カマンベール」という名称が厳密なルール無く名乗れるのに対し、「カマンベール・ド・ノルマンディ」となるにはフランスのAOPの認定マークが必要になります。

    カマンベール・ド・ノルマンディ(AOP)
    ノルマンディ指定地域内で、ノルマンディ産の牛の無殺菌乳(生乳)のみを使用。カードをラドルで5回に分けて丁寧に型に入れる「フラクショネル・モールディング」と呼ばれる伝統製法を厳守。熟成後はポプラ材の丸い木箱に入れて販売します。風味は複雑で豊か、熟成するにつれ旨みが増していきます。「ノルマンディ指定地域内」の生産でないとAOPの認定は得られないため、流通量はかなり少ないです。
    カマンベール・パストリゼ(殺菌乳使用)
    殺菌乳を使い、伝統製法に縛られずに生産されるカマンベールで、フランス国内だけでなく世界各地で作られています。AOPの表示はなく、生産コストが低く流通量が多いです。

    日本で販売されているカマンベールは出荷前に加熱する場合が多く、スーパーで見かけるものはほぼ加熱殺菌され熟成が進まない状態となっています。 そのため熟成の調整をして食べたりと、チーズの本来の食べ方を出来るものはかなり限られています。

    カマンベールの写真

    熊本のマザーズファーム(阿蘇ミルク牧場)が作った「牧場の想い」というカマンベールタイプのチーズ。 2016年1月当時120gで税込720円でした。
    ブルースカイ熊本空港店で購入。

    味と食べ方(ペアリング)

    白カビ(ペニシリウム・カメンベルティ)で覆われた外皮は白く柔らかく、食べられます。内部の生地は若いうちはしっとりと均一ですが、熟成が進むにつれて外皮のすぐ内側からとろりと溶けてくるのがカマンベールの食べ頃のサインです。
    風味はマイルドでミルキーな甘みと、白カビ由来のキノコや土を思わせるほのかなアロマが特徴。本物の生乳製カマンベール・ド・ノルマンディは熟成が進むほどアンモニアや発酵した独特の香りが増し、個性的な深みが出ます。日本の市販品はロングライフタイプが多いため味の変化は少なく、クセのないまろやかな味が楽しめます。

    必ず常温に戻してから食べるのが大切で、冷蔵庫から出したてでは本来の風味と食感が楽しめません。バゲットやクラッカーにそのまま乗せてシンプルに食べるのが最も定番の楽しみ方です。
    はちみつとの組み合わせはフランスでも人気で、甘みとチーズの旨みが引き立て合います。クルミやアーモンドなどのナッツ、洋梨やリンゴなどのフルーツとも相性が良く、チーズボードに並べやすいチーズです。

    加熱料理への活用も多彩で、オーブンで丸ごと焼いて「焼きカマンベール」にするのが近年特に人気です。ハーブ(ローズマリー・タイム)やにんにく・はちみつをのせてオーブンに入れると、外皮が器になってとろとろに溶けたチーズをパンにつけて食べる豪快なひと皿になります。
    また衣をつけて揚げた「カマンベールフライ」は日本でも定番のおつまみとして知られています。

    ワインとの相性は、フランスのノルマンディ地方の発泡リンゴ酒「シードル(cidre)」との組み合わせが地元の伝統的なペアリングとして最も有名です。軽めの赤ワイン(ボジョレー、ピノ・ノワールなど)や辛口の白ワイン、シャンパンとも合わせやすいです。強すぎるタンニンの赤ワインはチーズの繊細な風味を消してしまうため、ライトなものが向いています。

    購入店

    • ブルースカイ熊本空港店(2016年1月)
    分類
    🧀白カビ🧀ナチュラルチーズ🇫🇷フランス🐄