サン・マルスラン

サン・マルスラン
ミルクの種類 🐄
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    サン・マルスラン(Saint-Marcellin、サン・マルセランとも)は、フランス南東部ローヌ=アルプ地域圏イゼール県のサン・マルスラン町の名を冠した牛乳製のソフトチーズです。旧ドーフィネ地方(現ローヌ=アルプ)で生産され、2013年にEUのIGP(地理的表示保護)認定を取得しています。
    小さな丸い形が特徴で、重さは約80g、脂肪分50%。もともとは混合乳(山羊乳と牛乳)で作られていましたが、1980年代頃から牛乳のみの製法に移行しています。

    歴史は古く、1445年に当時のドーフィネ地方で狩猟中に熊に遭遇し、木こりたちに助けられた皇太子(後のルイ11世)が食事をともにした際にこの地のチーズに出会ったという伝説があります。史料としては1461年からルイ11世の王家の帳簿にサン・マルスランの記録が登場しており、当時すでに王室の食卓に並んでいたことが確認されています。フランス共和国大統領を務めたジャン・カジミール=ペリエも最愛のチーズとして名を上げた記録が残っています。
    「サン・マルスラン」という名称が一般化したのは19世紀頃で、輸送ネットワークの発達とリヨン・グルノーブルなどの都市需要拡大を背景に流通が広まっていきました。

    熟成度合いによる3段階の変化

    サン・マルスランの大きな特徴は、熟成の進み具合によって外観・食感・風味が劇的に変化することです。フランスでは以下の3段階に分類されています。

    セック(Sec/乾燥):外皮が乾いた状態で、生地はやや硬め。まだ締まったフレッシュ感が残っています。
    クレムー(Crémeux/クリーミー):外皮に白カビが覆い始め、中の生地がとろりとクリーミーになった状態。最も人気が高い食べ頃です。
    ブルー(Bleu/青みがかった):外皮が青〜黄色がかった色になり、中の生地はほぼ液状に近いほどとろとろに。より強い風味と複雑さが出ます。

    熟成が進むほど外皮はクリーミーホワイトから青み・黄みへと変化し、生地はスプーンですくえるほどやわらかくなります。購入後も常温に置くと熟成が進むため、食べ頃の見極めがサン・マルスランの楽しみのひとつです。

    なお、マールブランデーで1ヶ月以上漬けたものは「アローム・オ・ジェーヌ・ド・マール(Arômes au Gène de Marc)」、白ワインで漬けたものは「アローム・ド・リヨン(Arômes de Lyon)」と呼ばれる別製品になります。

    サン・マルスランの写真

    2014年6月にヴィノスやまざきWine+ist西武渋谷店で購入しました。

    味と食べ方(ペアリング)

    クレムー段階のサン・マルスランはバターのようにとろりとした生地で、まろやかなミルクのコクと上品な酸み、ほんのりとした塩気が広がります。クセはそれほど強くなく、フランスのソフトチーズの中では食べやすい部類です。熟成が進むほどより濃厚で複雑な風味になります。

    小さな土製の器(テリーヌ)に入って販売されることも多く、その器ごとオーブンで軽く温めて半融けにしてバゲットをつけて食べるのがリヨン地方の定番の食べ方です。スプーンですくってパンに乗せる食べ方もポピュラーです。
    ブドウ・くるみ・はちみつとの組み合わせもよく合います。

    ワインとの相性は、同じローヌ地方のコート・デュ・ローヌの白ワインや、クローズ・エルミタージュが産地の組み合わせとして定番です。軽めの赤ワイン(ボジョレーやサン・ジョセフなど)とも合わせやすく、チーズの繊細なクリーミーさに合う果実味のあるワインが向いています。

    購入店

    • ヴィノスやまざきWine+ist西武渋谷店(2014年6月)
    分類
    🧀白カビ🧀ナチュラルチーズ🇫🇷フランス🐄